第1話

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「大丈夫だから、ね?」 ごく自然に美和子さんに向かって微笑む 綺麗な手だな…… こんなときに 不謹慎だが……… ………慎吾くんが憎い 「どーしよっかぁ~~」 バックミラー越しに省吾さんが話しかける ジャスト! ……導火線が燃え尽き、ダイナマイトに着火! 「社長の家に避難するのはどぉ?」 あや…あや…ややや……綾子さん?! なんだってーー?! しゃ…社長……の家…………って……? まさかそれ、俺の家だろ? うちに連れていくとか……言った?! ドガガーーーン!!!! 粉塵巻き上げ 大爆発! ありえない発言 ありえな過ぎ…… 「ちょ……ちょっと、待ってよ!! 綾子さん、何を……」 「綾子、ナイス!! 一番安全だな」 カッチ……カッチ……カッチ…… グォーーン…… 信号が青になり、ウィンカーを左から右に変え、エンジンがパワフルに唸り、勝手に俺の家に向かう 「美和子ちゃん、崇の家で時間潰そうよ あとでまた送ってあげるから!な?」 もうひとり誘拐? 被害者が増える一方だ…… 待ってくれ…… まだ俺が了承してないだろ? 「申し訳ありません…… さっき話したばかりだから、もう来ないと……」 「ちび太の中じゃ解決してないんだろ?」 「ちび太くん、まっすぐなのねー 今どきの大学生も 純な子がちゃんと残っていたのに安心だわ…」 どこを見ていたんですか? 『純』とは……ほど遠い あぁ………どうしよう……
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