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駅の改札を通りすぎ、向こう側にあるホテルへ行こうとしていると……
切符の販売機の辺りをウロウロしてる男が、こっちへ来た
「すいませんが……
財布を落としたみたいで……切符が買えないんですよ~
帰れなくて
少しでいいんで、貸してもらえませんか?」
いきなり声をかけられた
「……………。」
身なりが悪いわけじゃない
ネクタイを締め、スーツを着ている老人……
省吾さんが一緒なら、悪い奴かどうか簡単に見抜くだろうが……
俺の洞察力は………?
コイツは、どうなんだ?
「 ………………。」
ダメだ……わからねー
本当に困ってるようにも見えるが……
電車賃なら、300円ぐらいだろ?
「どうか、少しでいいんで貸して貰えませんかね~~」
『少し』……ね……
貸したところで、返ってくるとは思えない……
だが、もしホントに困ってるなら……
周りに人はいっぱい……
チラチラ見られてかなり恥ずかしい
しかし、コイツが話している方向に立っているのは、俺
話を聞いてしまった以上、無視もできない
「………………。」
…………ダメだ
「いくらぐらい必要なんですか?」
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