第1話

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駅の改札を通りすぎ、向こう側にあるホテルへ行こうとしていると…… 切符の販売機の辺りをウロウロしてる男が、こっちへ来た 「すいませんが…… 財布を落としたみたいで……切符が買えないんですよ~ 帰れなくて 少しでいいんで、貸してもらえませんか?」 いきなり声をかけられた 「……………。」 身なりが悪いわけじゃない ネクタイを締め、スーツを着ている老人…… 省吾さんが一緒なら、悪い奴かどうか簡単に見抜くだろうが…… 俺の洞察力は………? コイツは、どうなんだ? 「 ………………。」 ダメだ……わからねー 本当に困ってるようにも見えるが…… 電車賃なら、300円ぐらいだろ? 「どうか、少しでいいんで貸して貰えませんかね~~」 『少し』……ね…… 貸したところで、返ってくるとは思えない…… だが、もしホントに困ってるなら…… 周りに人はいっぱい…… チラチラ見られてかなり恥ずかしい しかし、コイツが話している方向に立っているのは、俺 話を聞いてしまった以上、無視もできない 「………………。」 …………ダメだ 「いくらぐらい必要なんですか?」
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