第7章 空白の二年間

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というわけで着物を脱いで掛け布団をかけてから早速治療をしてもらっている 「うわ、治療なんかしてないでしょう。」 私の傷を見た途端の第一声がこれだった 確かに治療はしていない いや、自分でできるのも嘘ではないが 「私は治療ができるとは言いましたけどしたとは言ってません。」 「なんですか、それ。」 あれ、この台詞聞いたことがありますね。 そういえばそっくりそのまま土方副長に言った覚えが……。 「ちょっと染みるかもしれませんよ。」 山崎さんが言った途端横腹辺りにズキッと痛みが走る え、これ本格的に危ない感じだったのでしょうか……? 「どんな感じなんですかー?」 「そんなの自分で見ればわかるでしょう?」 確かに見ればわかりますがこの体制では見られませんよ。 心の中で悪態をつきながらも返事を返す 「……まあまあ危ない感じでしょうか?」 「はあ……化膿する直前ですよ。 本当に自分で治療できるんですか?」 なんだがものすごく呆れられている気がする いやおそらく気のせいではないだろうが気がつかないふりをして返す 「できますけど…。 自分の怪我まで見てられないですもん。」
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