第8章 もしもつけられていたら

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「………山崎さん?」 あれ、実は許してもらえてない? 部屋に訪れた沈黙に少々不安になり名を呼んでみる 何を考えているのか無表情な山崎さんからは何も感じ取ることはできない 「烝。」 「え……?」 「烝でいいですよ。 俺も呼び付けだし。」 あ、敬語戻りましたね。 でも呼び付けにするのはちょっと…。 というか怒ってはいないらしい そのことに少なからず安心した 「じゃあ……烝さん。」 とりあえずさん付けで呼んでみる これなら一応下の名で呼んでいることにもなる 「ん、なんですか?」 あ、それでいいみたいですね。 特に話したいことがあったわけではないのだが、返事をしてくれたのだから何か言わなければ そんなことを考えていれば昼餉の準備をしなければならなかったことを思い出した 「そろそろ昼餉の準備をしないと。」 「そう、行ってらっしゃい。」 私が言うと上機嫌に手を振って送り出してくれた 部屋を出てからもう一度振り返ると烝さんはにこりと笑う な、なんだったんでしょうか? 少々疑問が残ったものの仲違いをすることにはならなくて良かった 同室で過ごすのだからそれだとやりにくい
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