第8章 もしもつけられていたら

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あれから日が登り朝餉の準備へ行く時間まで話続けていた 徹夜することになる烝さんは少々心配だが、本人は全然大丈夫らしい 私と同じ時刻に部屋を出た烝さんは今日も朝稽古へと向かった それからはいつも通りに過ごし、昼餉も終わり皿洗いも洗濯も終わると漸く掃除に取りかかる ただひとつ違うのはいつもよりいくらか早く行動をしなければならないこと 特に掃除は早めに終わらせた もちろん手は抜いていないのだが普通よりも随分と急いだ ここに来て早一週間 私は初めての外出許可をもらった あのとき土方副長はゆっくりして来いと言ったが、仕事はきちんとこなしてからという意味だったらしい 私の考えが少々甘かったようだ しかしそれでもやはりおかしい……そして怪しい おそらくただ単に外出許可を出したというわけではないことは明らかだ あの土方副長がやすやすと間者の可能性がある者を外に出すわけがない 大切なので一応もう一度言うが、もちろん私は間者ではない まあただの思いつきで入ったようなものだから間者だと思われやすいのも重々承知してはいるつもりだが
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