第8章 もしもつけられていたら

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…………というわけで私は今日、京の町に出かけている 久しぶりに歩く京の町は一週間歩かなかっただけで随分懐かしく思える それだけ屯所での生活が刺激的であり、また新鮮だった 少し気疲れするくらいがちょうど良いのかもしれない 辺りを見回せば小物屋や呉服屋、甘味屋などたくさんの店がありとても賑やかだ そういえば出る前に烝さんが少しだけお金をくれた ーーーー・ーーーー・ーーーー 「え、いいんですか?」 私が屯所から出ようとしたとき烝さんがこちらに走ってきて何かを渡してくれた 手に握らされたものを見てみればそこにあったのは銭だった 「いいんですよ。 せっかくだし楽しんで来て下さい。 本当は一緒に行けたらよかったんですけど。」 「いえ、気持ちだけで嬉しいです。 ありがとうございます。」 申し訳なさそうにいう烝さんに慌てて礼を言った 大体おこずかいをくれるべき人物は土方副長なのだから全く謝る要素はない まあもちろんここにいられるのはその土方副長のおかげでもあるのだろうから何も言えないが… でも今日は土方副長の思いつきで外に出ることになってしまったのだから少しくらいくれたっていいはずです……! もともと私は外に出るつもりもなかったんです……!
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