第8章 もしもつけられていたら

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裏道に入り身を潜める 私が裏道へ入れば烝さんも怪しいと思って入ってくるだろう 「…………っ!?」 「静かに。」 烝さんが来ると奥へ連れ込み、急いで口を塞ぎ言い聞かせる 頷いたのを確認してから手を離した 「烝さん、今クナイとかもってます?」 「は、なんで……。」 私が小声で聞くと烝さんは怪訝そうに眉を寄せた 理由を聞きたいらしいが今は説明をしている暇はないだろう 「いいから、早く!」 少々不本意だが急かすことにした 私がこんな風な物言いをすることが少ないからか烝さんは慌てて答える 「あ、ああ……クナイならもってますよ。」 言いながら取り出しのは一本のクナイ 今の手持ちはそれだけのようだ 「今の状況、わかります?」 「ちょっと、危ないですね…。」 烝さんも気がついた様子 私は害がなければいいのだが、壬生浪士組に身を置いている以上そういうわけにもいかないだろう 今も忍につけられているということは浪士組について何らかの情報を渡してしまうかもしれないということなのだから 「じゃあ借りますね。」 一言告げて烝さんからクナイを取り上げると烝さんが私の前に出た
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