第8章 もしもつけられていたら

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「本当、役立たずだなぁ。」 烝さんと対峙する男がすでに倒れている忍達を見て呆れたように言った 一人だけ屋根の上に登ったままだ 確かに倒せと言っても無理がある あの男が降りてくるか、私達が登るか とにかくどちらかが動かなければ攻撃さえできない 「忍が声を出していいんですか?」 挑発でもしてみようかと声を掛ける まあこんな子供らしい罠に引っかかるほど馬鹿ではないだろうが、運がよければ情報が得られるかもしれない 何故私達を狙ったのか それから誰の命令なのか…… 「ああ、いいんだよ。 俺はあんたを連れてこいって 命令されただけだから。」 「どういうことですか? 私はあなた達には関係ないでしょう?」 ここぞとばかりに質問する私に男は笑みを浮かべた うわ……もしかすると私にとって不利益なことを聞いてしまったかもしれませんね……。 「なに言ってんだよ、その紋章……間違いない。 それだけは誤魔化せねぇだろ?」 「…………。」 ……やっぱり。 急に黙り込んだ私に烝さんが声を潜めて言った 「雛…話は帰ってから聞きます。」 「そうですね、早くかえらないと夕餉の支度に間に合いません。」 そんな冗談を言い合ってから最後一人に向かって走り出した
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