第8章 もしもつけられていたら

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眉間にシワを寄せた土方副長に今日あったことの一部始終を話した 「ふうん……お前戦えるのか。」 「まあ少しくらいなら…。」 ーーーー・ーーーー・ーーーー 結局あの男には逃げられてしまったので残された4人の憐れな忍たちを縄で縛ってから屯所へと歩みを進めた 帰り道は一言も喋らずに歩いた まあそれは当たり前なのかもしれないがいささか居心地のいいものではない 屯所へ戻るとようやく烝さんが口を開く 「先に報告に行きましょうか。」 「はい、そうですね。」 きっとあの男に出会わなければ報告など必要なかったのだろう はあ……運が良いのか悪いのか。 まさかこんなに早く知られることになるとは思いませんでした…。 幸いお互いに怪我はひとつもない だが少なくとも土方副長からの疑いは濃くなったはず まあいつか隠しきれなくなるくらいなら今の内に発覚しておいた方がよかったのかもしれない ーーーー・ーーーー・ーーーー ……というわけで今に至る 「なぜそれを言わなかった?」 「なぜって副長が遮ったからですよ。」 「はあ?俺がいつ遮ったんだよ。」 おぉ、ついに青筋が…。 しかもそのいちいち睨んでくるのやめません? 「一応聞くがお前は何ができる……って聞いたじゃないですか。」 「あ?あー、そういえば…。」 あ、覚えはあるんですね。 よかったです。 初めから全て話すなんて時間がかかるから絶対嫌ですしね。 「まあそういうことです。」 「じゃあもう一度聞く。 お前は何ができるんだ?」 え、もう一度聞いちゃいます? まさかまた聞かれるとは…。 せっかくあの場を切り抜けたのに水の泡じゃないですか。
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