第8章 もしもつけられていたら

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「とりあえず、木刀でいけるか?」 「はい。」 私が返事をすると土方副長から近くに立てかけられていた木刀を渡された 渡された木刀を握るとずっしりとした重みが感じられる 久しぶりに持ったがなんとかいけそうだ 「こんなところで稽古をしていたんですね。」 「おう!」 私の言葉に返事が返ってくるので振り返ると永倉さんとその隣には斎藤さんがいた 今日は永倉さんと斎藤さんが稽古をしていたようだ ここは壬生寺の境内 私がここへ来る前、つまり前川邸にお世話になる前までここで稽古をしていたらしい そしてどこから聞きつけたのか沖田さんや原田さん、それから藤堂さんまでもが壬生寺にやってきていた 「雛が試合するんだって? 面白そうだな!」 「本当、どんな試合になるんでしょうね。」 おそらく原田さんは純粋に面白そうだと思っているのだろう だが沖田さんのは嫌味を言っているようにしか聞こえない 「よし、それじゃあ対戦相手を適当に1人選べ。」 土方副長が壬生寺に集まった隊士を見回してから言った 私も一通り全員の顔を見る よし……じゃああの人でしょうか 「斎藤さんで。」 「え、一くん?大丈夫なのか?」 私がそう言うと藤堂さんから驚いた顔をされた だが私には斎藤さんが一番いいと思う 「はい、手加減とかちゃんとしてくれそうなので。 それにみなさんお強いんですからどなたでも同じじゃないですか。」 ……というわけでもちろん理由もある
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