第8章 もしもつけられていたら

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「「…………っ!?」」 観戦していた隊士の驚いた顔が視界に映る 目の前にいる沖田さんもずいぶんと驚いている様子 まあ確かにさすがにこんなものが投げられるとは思いもしなかっただろう 「……っぶねぇ!」 沖田さんの声に呼び戻された隊士の皆は依然驚き顔のまま かろうじてよけ切れた沖田さんだったが、それに気を取られている間に私は後ろへ回り木刀を振り下ろした 「……い、一本! 勝者、雛っ!」 私が投げたもの、それは外に出た際に烝さんから借りていたクナイだった 着替えるときに返すのを忘れないようにと懐にしまっていたのを試合中に思い出したのだ 「……………すげ、総司に勝った。」 まだ驚き顔のままの藤堂さんが言ったのが聞こえた それを聞いた沖田さんは漸く我に返ったらしく、勢い良く土方副長を振り返った 「はっ……今の反則ですよね!?」 「いや、俺は特に何も言ってなかったからな。 反則にはならねぇ。」 沖田さんは同意を求めるように副長を見るがまさかの撃沈… すると今度はこちらを振り向いた 「な、なんでクナイなんか……?」 「さっき烝さんに借りていたのを思い出したので。」 にっこりと笑いながら烝さんを見る 急に話を振られた本人は一瞬なんのことかわからなかったらしくぱちぱちと瞬きを繰り返した 「あ、そういえば借したままでした!」 烝さんも思い出した様だ 烝さんが手を合わせて言うので沖田さんはガクッとうなだれた
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