第9章 忍のココロ

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「土方副長、失礼します。」 「おう。」 部屋に入ると中には土方副長、山南副長、近藤局長がいた その顔ぶれはおそらく私のことについていろいろと質問するためだろうと思われる 「正直にはっきりと言え。 お前は何者なんだ? もうごまかしはきかねぇぞ。」 「私は忍ですね……いえ、忍とは違いますが似たようなものです。」 「どういうことだ?」 私の言葉に近藤局長が首を傾げて聞く なんというか……説明しにくいですね。 「忍とは違いますが、ここではそういう類になるんだと思います。 他には何かありますか?」 「じゃあ生まれはどこなんです?」 「おそらく江戸です。 前に言った通りですよ。」 私が答えると山南副長は眉を寄せる 前に言った通りとは言ったが、実はそのとき山南副長はいない なので土方副長に視線を向けると山南副長を見て頷いた それを見た山南副長はまたも私に質問をする 「ではいつからこの京に?」 「多分2年前くらいですね。」 「たぶんとは?」 私の返答に今度は近藤局長が質問した これはいつまで続くのでしょうか……。 「ここに来る一ヶ月前から二年間の記憶が全くありません。」 「この話もすでに俺が聞いた。 それでお前は主の命でここに来たなんてことはねぇよなぁ?」 土方副長少しの偽り言も許さないとでも言うように目を逸らさない 目をそらせばどうなるかなんてことくらいは私にもわかる なので私も土方副長の顔をじっと見据えて言った 「それはもちろんです。 倒れていなければここにはいません。 そもそも斎藤さんと会っていなかったらお世話にもなっていませんし。」 「それもそうか。」 近藤局長は納得しているようだが他二人はわからない なにも言わずにただ私を見ているだけ 「いや、それこそが演技だということもあり得る。」 「しかし斎藤君には確かに意識はなかったと聞きました。」 やはり土方さんは信じられないようだ 山南副長の言う斎藤さんの話によれば、確かに私は気絶していたらしい
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