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「そうですね、俺が見てきましょうか。」
そう言ってから烝さんは立ち上がる。
「ありがとうございます。
烝さんは、いいんですか?
私とこんな話なんかしていて。」
「どういうことですか?」
「派閥とかの話ですよ。
私なんかにしてよかったんですか?
間者かもしれないのに。」
もし間者なら話してはいけない内容だろう。
「そうですね、俺はもう疑ってませんから。
それに俺はいつも近くにいるのだからもし間者だったとしてもすぐに始末できます。」
「一瞬にして話が殺伐に…。」
「なに言ってるんですか。
雛が話を振ったんでしょう。」
ごもっともです…。
「そうですけど。
そんなに簡単に信じてるとまた副長に叱られますよ。」
ただでさえつい最近叱られたばかりだ。
「言ったでしょう。
そばにいる俺が一番に気がつけるんです。
そんな心配はいりません。」
烝さんは自信満々に言い切る。
どこからそんな自信が湧いてくるのでしょう。
「ありがとうございます。」
「お礼には及びません。
それでは見てきますね。」
私がお礼を言うと烝さんはにっこりと笑ってから行ってしまった。
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