第9章 忍のココロ

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烝さんが行ってしまうと、再び掃除を再開した。 信じる、か。 私は人を信じたことがないというのに、よく信じるなんてことできますね。 『誰かに信じられたいなら、まず自分が信じろ。』 なんて言いますが、そんなことありませんよね。 それとも、烝さんは私に信じて欲しいとでも思っているのでしょうか。 ………さすがにそれはないですね。 ーーーー・ーーーー …………人なんて。 人なんて何を考えているかわからない。 口ではなんとでも言える。 たとえ心にもない言葉であったとしても簡単に言えるんだ。 優しい振りをしておいても心の内までは知れないのだから。 そうやって騙そうとする人たちには何度も出会ってきた。 もっとも、私が騙されることなどありはしない。 そもそも私は信じてはいなかったのだから。 誰かを信じることほど馬鹿らしいことはない。 と、私はそうおもう。 他の人の考え方など私には理解出来ない。 私は幼い頃からずっとそうしてきた。 今更この考え方が変わることなどありえない。 これまでも、これからも。 私はそうやって生きてきたのだから。 第9章 忍のココロ -end-
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