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そうして勘定方、河合さんの部屋を訪れていた。
「河合さん、失礼してもよろしいでしょうか。」
「はい、どうぞ。」
すぐに返事が返ってきたので襖を開けて部屋に入る。
「実は今夜、宴会を開くそうで副長に準備を頼まれたんです。
どのくらいなら宴会にお金を使えそうですか?」
「そうですね、お酒代と食費がありますから…。
このくらいでしょうか。
副長に確認してきますね。」
「はい、ありがとうございます。」
部屋を出て行った河合さん。
金庫を見らずに予算を出してしまった。
さすが、というべきか。
部屋に残された私は、改めて部屋を見回す。
綺麗に整頓された部屋は埃が一切なく、隅々まで掃除が行き届いている。
勘定方にはそういう管理ができる人が向いているのだろうか。
これは後から聞いた話だが、河合さんは家が商人だったらしい。
そのため、勘定役になったのだとか。
しばらくすると、襖が開く。
襖を開けた河合さんが部屋に戻ってきた。
「はい、だいたいこのくらいですね。
お釣りがあれば戻してくださいね。」
河合さんにお金を手渡された。
「はい、もちろんです。
それでは買い出しに行ってきますね。失礼しました。」
「はい、よろしくお願いします。」
それから部屋を出た私は、すぐにあの人の部屋に向かった。
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