第10章 歓迎会という名の宴

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宴会が始まると、広間は大騒ぎだ。 夕餉を食べている方、お酒を楽しんでいる方。 さらには腹踊りをしている方まで…。 すごく騒がしいですね。 いや、これは賑やかと言うのでしょうか。 そんなことを考えていると、副長がこちらに近づいてくる。 「雛、悪かったな。急に頼んで。」 「いえ、構いませんよ。 私は副長に言われた通りに動いただけです。」 私が言うと、副長は笑って答えた。 「ふっ、そうか。」 今の言葉に笑う要素があったのでしょうか…? 「お酒をお注ぎいたしましょうか。」 「ああ、頼む。」 お酒を注ぐと、副長は一気に飲み干した。 「ああ、そんなに急いで飲むのは体に悪いんですよ。」 「まあいいじゃねぇか。 お前もどうだ? この宴会はお前の歓迎も込めてるんだ。 働かせてしまったがな。」 「ふふ、そうなんですか? ありがとうございます。」 副長にお酒を押し付けられる。 これでは断れませんね…。 「ありがとうございます。 いただきます…。」 私も副長に習って一気に飲み干した。 「お、いい飲みっぷりじゃねぇか。」 「そうですか?」 注意したそばからこれだ。 副長に習ってしたこととはいえ、これでは周りに示しがつかない。 まず私が改めなければ…。 私は女中なのだから、隊士の健康管理も仕事のうちだ。 そんなことを考えていれば、原田さんたちに捕まってしまった。
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