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なぜに頬を染めるのでしょう。
ちらと隣を見ると、藤堂さんは首を振る。
本名は教えるなということだろう。
藤堂さんに頷き、もう一度前を見てから答えた。
「私は、千里と申します。」
とっさに思いついたセンリという名前を告げると、急に明るくなって笑みをこぼした。
「千里はんどすか。
素敵な名前どすなぁ。」
「……ありがとうございます。」
ニッコリ素早く笑みを作ると、目の前のお咲さんはまた頬を染めた。
なんなんでしょう。
人見知り、とか?
それなら話しかけてきませんよね。
それなら、風邪?
「千里、そろそろ行くぞ。」
「はい、わかりました。
それでは。」
「あ、待ってください!」
挨拶をして、先に行こうとすると引きとめられる。
「はい、まだ何か?」
「うち、すぐそばの甘味屋で働いとるんどす。
お時間があればいらしてくださいな。」
なるほど、宣伝ですか。
「はい、ご紹介ありがとうございます。
機会があれば、寄らせていただきますね。」
とかなんとか挨拶をしてからその場を去った。
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