第11章 新しい主

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「藤堂さん、付けられてる様です。 裏路地に入りましょうか。 あ、隊士さんは別行動にしましょう。」 「わかった。 それじゃ、悪いけどここからは別々に巡察をしよう。」 「えっ、藤堂助勤…。」 隊士の不安げな呼びかけにも答えず、すぐに裏路地に向かった。 「ねぇ、いるんでしょう。 そろそろ出てきたらどうですか?」 私が声をかける。 すると全身黒色の男が5人、姿を現した。 すると、その中の1人が前に出て話し出す。 「なら、あなたも素直に捕まればいい。」 「なにを…。」 「前にも5人、あなたを連れ戻しに来ただろう。 白を切るつもりか? その紋章、間違うはずが無い。」 紋章……。 「雛ちゃん、どういうことだ?」 藤堂さんは、わけがわからないとでも言うように困惑した表情で私に尋ねる。 「わかりません、でも。」 なぜか私を連れ戻すと言うこの男達は、私についての何かを知っているのだろう。 「私が狙われているのは確かのようですね。」 「ははっ、わからない? あなたはそんなに頭が悪いわけではないはずだ。 その証拠に今もこの状況をどうするか、いろいろと思案をしているのだろう?」 それは私の紋章について言い逃れる方法のことを言っているのか、 それとも今のこの状況を抜け出すための方法のことを言っているのか。 どちらにしてもまずい状況なのには変わりない。 とりあえず忍たちを切り抜けなければ先は見えないだろう。
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