第11章 新しい主

12/20
前へ
/525ページ
次へ
ーーーー・ーーーー・ーーーー 帰ってからすぐに、副長に呼ばれた。 ああ、来ましたか。 なんて、なぜか冷静な私がおかしく思える。 「失礼します。」 「ああ、入れ。」 副長の部屋に入ってみれば試衛館派、もとい近藤派の幹部が集まっていた。 その中でも殺気を隠しもせずにこちらへ向けてくる方が一名。 「全てはけ、と言ったはずだが。」 「嫌ですねぇ、私的には全てはいたつもりだったんです。」 言わずもがな、土方副長だ。 「嘘をつけ、まあ。」 一度言葉を切ると口の端を上げ、続けて言った。 「今日で全てを知ることになるんだ。」 「………そういうことになりますね。」 「とりあえず、詳しく説明してもらおうか。 紋章とやらについてと、お前がなぜ狙われているのか。」 「はい…。」 正座をしてから返事をする。 全員を前にして、話を始めた。 「私は、左胸の辺りと右耳に印があります。 私が幼い頃の二年間だけ生活していた家の家紋です。」 そう言ってから、右耳を指してみせる。 「それ、まさか…。」 烝さんはこの家紋に心当たりがあるらしい。 「黒子じゃなかったのか?」 驚き顔でつぶやく原田さんを一瞥して、副長が話を進めようとする。 「それが印か?」 よく見てみると家紋となっているが、普通は黒子にしか見えない。 「はい。」 とりあえず話を続けることにした。
/525ページ

最初のコメントを投稿しよう!

877人が本棚に入れています
本棚に追加