第5章 新しい朝

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土方副長が目が覚めたのを確認すると、私も布団から起き上がる。 漸く解放されたのと同時に部屋を出ることにした。 「では準備を終えたらすぐに広間に来てくださいね」 「ああ」 返事をきちんと聞いてから部屋を出た。 早く広間に向かわなければ時間がない。 台所で作ったお膳を運ぶのも私の仕事。 平隊士は自分で運ぶことになっているが、幹部のお膳を運ぶのは私だ。 土方副長を起こすのにずいぶんと時間を使ってしまった。 土方副長が来る前に運び終わらなければ。 山南副長はともかくさすがに近藤局長もきてますよね。 次からはどのように起こすか決めてから行かないとまた二の舞いになる。 幹部を起こすだけでも一苦労なことがわかった。 …………よし、なんとか運び終わりましたね。 あれから急いで台所へ戻りお膳を運んだ。 隊士にお膳を渡し終えた井上さんが手伝ってくれたので、なんとか土方副長が来る前に終わらせられた。 当然近藤局長も席についており、あとは土方副長だけだ。 「お、雛! こっち来いよ!」 そう声をかけるのは左之さん。 今日も席を迷うのであろう私を助けてくれたのだろうか。 「ふふ、ありがとうございます。 では失礼しますね」 「おう」 お言葉に甘えて遠慮なく座らせてもらうことにした。
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