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確かに名乗った覚えのない沖田さんからすれば不思議ですよね。
「あ、すみません。 前にそう呼ばれているのを聞いたので」
「ふーん、そう。 でもあまり怪しいそぶりは見せないほうがいいですよ」
沖田さんは言うと嘲笑うかのような笑をうかべた。
「私は貴方を信じていませんから。 私が黒だと判断した場合はすぐにその場で切り捨てます」
……信じられない、ですか。
確かに沖田さんからすれば私は突然現れてこの壬生浪士組に居座った赤の他人。
土方副長と同じく怪しいとしか思えないのだろう。
正直こういうのは慣れた。
みんなこんな目で私を見るから。
何も知らないくせに可哀想だと同情の目を向けられることもあった。
もちろんこれはここに来る前の話。
やっぱり人ってみんな同じなんですね。
「はい、わかりました。 心しておきますね」
素早く笑みを作ると水汲みを再開する。
こういうのは流しておくのが一番だと知っているから。
そうして再び井戸に手を掛けた。
う、持ち上がりませんね……。
やはり何度やっても持ち上がらない桶。
当たり前ではあるが何度も挑戦すればいいわけではないようだ。
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