第5章 新しい朝

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……なんて言いましょうか。 実はあまり覚えてないんですよね。 適当なことを言うわけにもいきませんし。 「あまり覚えてはいないのですが、倒れてしまったみたいで……気がついたらここにいました」 これが1番いい方法ですよね。 正直に言うのが1番安全です。 我ながらいい方法を考えついた。 おそらくこの話は土方副長の前ではしていない。 もちろん斎藤さんに聞いているだろうと思ったからであって深い意味はない。 「それから色々とあって近藤局長に頼んだらここに置いてもらえることになりました」 最後の説明は少し雑になったが、報告するためだけに聞いているのだとしたら問題はないだろう。 「そうだったのですね」 一応は全てを話した。 それから相槌を打ってくれるので私も質問をしてみることにした。 「あの、お名前を伺ってもよろしいですか?」 なんとなく考えたことがある。 忍なのに名前を名乗っていいのか。 そんな私の心配……というか疑問をよそにその人は笑いながら答えた。 「山崎烝といいます」 私が言えたことじゃありませんけど、この人も作り笑顔をするんですね。 まあ忍なら表情を出さないのは当たり前かもしれない。 それも土方副長が信頼をおく理由なのだろうか。
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