第7章 空白の二年間

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「あ、山崎さん。」 先ほどまで土方副長の後ろを歩いていた山崎さんがすぐ後ろにいた 私が声をかけるといつもの作り笑顔を浮かべる 「ちょっといいですか?」 山崎さんは笑顔貼り付けたまま私に訪ねた これって計算していたんでしょうか? それとも偶然? 「はい、大丈夫です。 あ、これ藤堂さんのお茶だったんですけど飲まずに行ってしまったのでどうぞ飲んでください。」 とりあえずお盆に乗っていたお茶を一つ差し出した 口をつけずに行ってしまった藤堂さんは今頃どうしているだろうか 「ありがとうございます。」 山崎さんはお茶を一口飲むとそれを置きこちらを見るので私は何を言い出すのかと構えた 私はなにかやらかしたのだろうか 監察されている以上妙なことはできないから特に表立った行動もしていないつもりだが実際はわからない 私も山崎さんを見返すと漸く口を開いた 「雛のこと、いろいろ調べさせてもらいました。」 ああ、そういえばそんなことを言っていましたね。 特に問題を起こしていたわけではないらしく少々安心した 「本当ですか? 監察方って主に何を調べるんですか?」 「まあ、身元の確認や特徴ですかね。 怪しいそぶりを見せないかとか…。」 特徴ですか…。 私の特徴も見つけたりしたのでしょうか? 「へぇ、ちなみに私の特徴ってなんですか?」 「特徴と言えるかわかりませんけど雛は笑いませんよね。」 …………え? 「そうですか? 普通に笑ってると思いますけど……。」 まさか気がついている人がいるなんて思いませんでした。 斎藤さんに笑えと言われたときは確かに明らかな作り笑顔だったと思うが、それからは特に自然に笑うことを意識していた 特に何も言われないからきちんと笑えているはずだ 「いつも作り笑顔しかしませんよね。」 「…………なんでそう思うんですか?」 動揺が伝わらないように努めたつもりだがおそらく気がついているだろう 最後の期待をかけて山崎さんに聞いて見た 「なんでって、仕事柄でしょうか。」 「………そうなんですか。 すごいですねぇ。」 なんとか落ち着いて発言しようと頑張るがきっとムダなのだろう なんとなく自分でもわかる いつもの自分じゃない
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