第7章 空白の二年間

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私のなくした記憶になにがあるかはわからないけれど 知っておかなければいけない気がする 何かすごく大事なことを忘れている気がする 早く思い出さないと大変なことになる気がする きっと私にとって、この世界で生きるための大切な二年間だったはずのその月日 私がそう思うのはそれを思い出そうとすれば酷い虚無感に襲われるから 今となっては懐かしいとさえ思うことができないが、もし思い出したとき私はどうなるのだろうか ここにはいられなくなるのかもしれない 逆にここにいるべき存在となるのかもしれない 今は何もわからないが、わからないことを……思い出せないことを考え続けても埒が明かない とりあえず今の私は二年前の私ではない それより以前の私だ 今は、今だけはなにも考えずに過ごそうと決めた これは私なりの覚悟でもある 新しい私を捨てて以前の私を拾ったのだ 以前の私を生き続ける限り私は前には進めない それも全てわかった上での覚悟 私は前には進まず同じ場所に立ち続ける
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