第7章 空白の二年間

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ーーーー・ーーーー・ーーーー ザクッザクッ、トントン 野菜を切って鍋に突っ込んでゆく しばらくして野菜が煮えると台所を振り返った 「後は味付けして、沢庵切って盛り付けるだけですね。」 と毎度独り言のように言うのだがこの人はもう慣れたようだ 最初は反応してくれていたがさすがに面倒になったのだろう 「源さん、私皆さんを起こしに行くので休んでいていいですよ。」 いつも手伝ってくれるその人に声をかける すると沢庵を切っていた井上さんがこちらを向いた 「いやまだ残っているだろう。」 「ああ、それなら私がやっておくのでいいですよ。」 盛り付けくらいなら私だけでも間に合うだろう いつも手伝ってくれているのだからたまには休んでもらいたい 井上さんはもともとする必要のないこの仕事を自ら進んで手伝ってくれている 「そうかい?では失礼するよ。」 井上さんは言うと広間の方向へと歩いて行った 私はそれを見届けると最後の盛り付けに取りかかった
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