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闇は寛大だ。
何処にでもあり、誰もを受け入れ、勝利へと導く。
しかし、失う『物』は大きい。
名誉や地位、平凡な日常であったり、はたまた昨日までの友、恋人。
少年は全てを理解した上で、刀を抜いた。
月光を反射させる刀は、暗闇で存在を表し、現状を写す。
巨大な拳の形で陥落したアスファルトに埋まる腕、
上半身が吹き飛び立ち尽くす下半身、
首がない死体、
残忍さを物語るように大量の血が飛び散っていた。
路地裏で起こった殺戮の現場。
到底、人間に可能な事とは思えないが、二十歳に満たない少年が現実にやってのけた。
少年の足下に血が流れてくる。
それに気づくと悪臭が漂う。
鉄の臭いと死体の臭いが混じり常人なら吐き気が襲う。
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