プロローグ

2/3
前へ
/53ページ
次へ
闇は寛大だ。 何処にでもあり、誰もを受け入れ、勝利へと導く。 しかし、失う『物』は大きい。 名誉や地位、平凡な日常であったり、はたまた昨日までの友、恋人。 少年は全てを理解した上で、刀を抜いた。 月光を反射させる刀は、暗闇で存在を表し、現状を写す。 巨大な拳の形で陥落したアスファルトに埋まる腕、 上半身が吹き飛び立ち尽くす下半身、 首がない死体、 残忍さを物語るように大量の血が飛び散っていた。 路地裏で起こった殺戮の現場。 到底、人間に可能な事とは思えないが、二十歳に満たない少年が現実にやってのけた。 少年の足下に血が流れてくる。 それに気づくと悪臭が漂う。 鉄の臭いと死体の臭いが混じり常人なら吐き気が襲う。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加