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『待って。私をここから出して』
声を頼りに、足を進める。
光がない恐怖など微塵もなかった。
「誰なの?」
当然の疑問を投げかけながら、手を延ばす。
だが、答えは返ってこない。
何かが手に触れ、迷わず掴む。
それは、棒状の物だった。
掴んだ瞬間、声の正体だと確信し黙って持ち出すことにした。
願いを叶えてあげたい。
それに――もう一度、声が聞きたい。
そんな欲が強くなったのだ。
あれから、何年も経つが声を聞いた試しはない。
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