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まるで悪びれた様子もなく、テヘッと舌を出しているのを見るともう怒る気にもなれなかった。でも腹はたつが。
「だったら放課後でもよかったんじゃないのか?全く、朝からテンションだだ下がりだよ…」
「でもスゴイだろ!?だって遺産だぜ、い・さ・ん!それも都会とか王都でもなかなか見られないって言われてる遺産が動いてるとこだぜ!?くうぅ~っ、実は昨日から興奮しすぎて寝てなかったんだよ!」
あぁ、テンションがおかしいのはそのせいか。納得だわ。
「それにしてもまさかこのアトレアの町にも遺産ってあったんだな!正直親父が掘り起こすまでアトレアにはないと思ってたぜ。それが今やあと解読だけだろ?いやぁ~、なにがあるかわからな」
ガラッ
僕にはそこにいるそれが鬼に見えた。いや、そこには確かに鬼がいた。
「ライクくん?そろそろ反省しただろうから入っていいわよ。サジは放課後まででも立ってろ」
「ええ!いやそれはないっすよ先生!」
僕はポンと肩に手を置いてニヤニヤしながら言ってやった。
「サジ、静かにしてればきっといいことがあるよ」
鬼も目にも涙っていう言葉もあるんだからな。
「やっぱりライクくんも立っていようか?」
ピシャッ
扉は無情にも僕の目の前で閉まった。
…そりゃないっすよ、先生。
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