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それから僕たちが廊下から解放されたのは昼休みの直前だった。
「はあぁ~…もう足が動かん」
机に突っ伏したまま足を揉んでパンパンになっている筋肉をほぐしてみる。が、やっぱり熱をもってなんとなく気だるい感じがとれなかった。
「ライク、朝から災難だったわね」
ん?と声をかけられた方に顔を向けるとトチェットがニタニタと意地悪な笑みを浮かべていた。
「うっさい。大体何でいつも話しかけてこないお前が話しかけてくんだよ」
「決まってるじゃない。遺産が動いたみたいな話しが聞こえたからよ。町長の娘の私が知らなくてどうするの?」
まだ11才でありもしない胸をつきだして威張るその態度はまったくもって子供らしさしか感じられない。
(全く、町長の娘らしいのはあの縦ロールぐらいだな)
「そもそもサジのお父様に今回の遺産の研究を依頼したのは私の父であって…」
偉い人の娘にありがちなドリルヘアーがトチェットの言葉にあわせて左右でゆれている。
「聞いていますの!?だから私にその遺産が起動したって言う話を聞かせなさいといっているんですの!」
ダン!と僕の机を叩いて大声で言う言葉に周りの人が一斉に振り向く。
『え?遺産が起動したの?』『すぜぇなライクのやつ』『バッカ、起動させたのはライクの親父だろ?』『でも、ってことはライクは遺産が起動したとこ見てたってことだろ?』
なんでだ?どこでどうなってこんなことになってるんだ?いや、トチェットが僕の目の前で騒ぐからか。
「いや、起動させたのはサジの父さんだから僕はよく知らないんだよ。聞きたいなら僕じゃなくてサジに聞いた方がいいんじゃないかな?」
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