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「気配なんて…感じなかったのに」
メリーが鳴き声がした方向に双剣を構えながら睨みつける。
「メリー、おちつけ」
ルトもサーベルを抜き構えた。
「お姫様は俺の後ろにおいで」
ルトは子供をそっと背に庇った。
その時、鳴き声の主が茂みから飛び出してきた。
「ぐるぅ」
犬のような体躯、紫色の瞳。
「…魔狼」
メリーが魔狼にゆっくりと近づいていく。
「ただの人間風情が」
魔狼のいる方向から殺気のこもった女の声がする。
「誰!?」
敵意むきだしの声を聞いたメリーは近づいていた足を止めた。
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