第1話

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「気配なんて…感じなかったのに」 メリーが鳴き声がした方向に双剣を構えながら睨みつける。 「メリー、おちつけ」 ルトもサーベルを抜き構えた。 「お姫様は俺の後ろにおいで」 ルトは子供をそっと背に庇った。 その時、鳴き声の主が茂みから飛び出してきた。 「ぐるぅ」 犬のような体躯、紫色の瞳。 「…魔狼」 メリーが魔狼にゆっくりと近づいていく。 「ただの人間風情が」 魔狼のいる方向から殺気のこもった女の声がする。 「誰!?」 敵意むきだしの声を聞いたメリーは近づいていた足を止めた。
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