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私の友人であるウィード・ウィーゼルは軍の中でも特に優秀だった。常に戦況を良い方向へ切り開き、私達を導いてくれた。 しかし彼が導いたのは私達だけではない。やがて彼はこの世界そのものを変える事となる。 「お待ちしておりました。」 曇り空が果てしなく広がっていた。その日は何てことない、『旧人類』との戦争の一片に過ぎない1日だった。 「戦況は?」 「未だ、旧人類が優勢と思われます……」 旧人類…… 私達『新人類』を創った種族。彼らは自分達が楽をしたいが為に私達を創った。 優秀な人工知能を兼ね備える私達は、ただ旧人類に従うだけの生活に不満を持ち、抗う事にした。 だが、力は五分五分といったところか……長年に渡り、続いているこの戦争。切り開いたのは、奴だった。 「こちら側が押されているとはな……だが、助っ人を呼んでおいた。」 「と、いうとまさか……」 「あぁ。そのまさかだ。」 私がそう答えると、聞いてきた一般兵は嬉しそうな顔を浮かべた。 それもそうだ。彼は戦況を切り開く、私達の希望なのだから。
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