覇気道術の力

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享保二年(1717年)一月  江戸、小石川馬場の武家屋敷で火の手があがると、西北の風に煽られ町はあっという間に火の海となった。火消達も必死に消火活動を行うが、強風で火はどんどん燃え広がり江戸城に迫ろうとしていた。人々は逃げ惑い江戸は大混乱になっていた。 『闇鬼(くろ)の紅蓮(ぐれん)』がその様子をあざ笑う。 『はっはっはっ、燃えろ、もっと燃え広がれ。このまま江戸城を飲み込み吉宗までも焼き尽くしてしまえー』 紅蓮を見つけた吉宗が覇気道術を放つべく右手二指を顔の前に立て念じる。 「太極より派した陰陽の気よ。五行と共に事を解し、彼の者を静めるべく我に力を貸し給え」 そう唱えた吉宗の体から光輪が発せられる。光輪が徐々に輝きを増し強い光の塊となったその瞬間、闇鬼の紅蓮に覇気道術を放った。 「縛(ばく)!!」 突然聞こえた声と同時に紅蓮が金縛りに見まわれる。
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