覇気道術の力

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 数日後 江戸城内  吉宗は一人考えていた。 (間違いなく『闇鬼(くろ)』の封印を解こうとするものがいる。それも紅蓮のような恐ろしい力を持った闇鬼を・・・) すると家臣の一人が吉宗に呼ばれて広間にやって来た。 「上様、お呼びですか」 吉宗の紀州時代からの側近加納久通であった。ここ数日、闇鬼(くろ)との戦いの思慮を繰り返してきた吉宗が加納に告げた。 「加納、小見吉一(おみ よしいち)を呼べ」 加納はしばらく考えた後答えた。 「天隠(そういん)流の小見・・・ですか」 「そうだ、紀州へ行き小見を連れて来るのだ。これから先、必ず小見の力が必要となる」 吉宗にそう告げられた加納は、まるですべての事態を悟ったかのような顔をし、ただ一言だけ返事を返した。 「御意」 こうして時代の繁栄を滅ぼす闇の力『闇鬼(くろ)』との戦いが今、始まろうとしていた・・・。
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