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「あけましておめでとう!!」
12時を過ぎた瞬間、母の陽気な声が響いた。
「おめでとう」
「おめでとー」
年越しそばを啜る手を止め、わたしと祐希が声をハモらせてそれに応えた時、ガチャ、とリビングのドアが開いて、父がトイレから戻って来た。
「ああん、もう、パパってば。家族4人で新年の瞬間迎えたかったのにぃ」
母が残念そうに言うと、父は低い声でゴメン、と言って鼻の下を掻いた。
ダイニングテーブルにつき、ソバの続きを食べ始める。
「今年は萌ちゃんの受験が控えてるから、初詣できちんとお願いしなくちゃね。
二人とも、明日は家に居るんでしょ?」
「あ、うん…明日は行けるんだけど…」
「え?」
わたしがごにょごにょと言葉を選んでいると、祐希が代わりに答えた。
「明日も4人で行くけど、とりあえず今夜、ねーちゃんと二人で行って来るよ」
「えっ」
母がぱちくりと目を見開く。
「どうして?明日じゃダメなの?」
「夜中に行くのがいいんじゃん。二人なら危なくないから、いいでしょ」
「うーん…。でも、せっかくの初詣なのに…」
母が少し切なげな顔をしていると、父が珍しく口を出した。
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