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カウンセリング室のいつものソファに腰掛け、フジコ先生のセクシーなおしりに目を奪われていると、中腰でバッグの中をゴソゴソしていた先生がくるりとこちらを向いた。 「椎名さん、ちょっと目、つぶって」 「え。…はい…」 わたしはこわごわ目を閉じた。 今日は久しぶりの登校日。 教室で自習していた時、フジコ先生からメールが届いた。 『渡したいのもがあるから、終わったらカウンセリング室に寄ってね』 …何だろう…。 ものすごく薄眼を開けたかったけれど、わたしはなんとかその欲求を抑え込み、しっかり目を閉じて待っていた。 ぺたぺた、とフジコ先生の妖しい気配が近づいて来る。 「手、出して」 「はい…」 言われるまま手のひらを広げると、何かがポン、と乗せられた。 「いいわよ」 目を開けると、それは真新しいお守だった。 「湯島天神できちんとお参りして来たから、御利益間違いなしよ」 「峰村先生…」 わたしがうるうるした目で見上げると、フジコ先生はえへ、と照れたように笑った。 「ベタだけど私、大学受験の時も、臨床心理士の試験の時も、ここのお守りを持ってたのよね。 …今のところ、私がこれをプレゼントして落ちた人、いないから。 椎名さんも絶対、合格するわよ」 「…ありがとうございますっ」 わたしは立ち上がって、ぎゅっとフジコ先生の手を握った。 「何だか、負ける気がしません」 「…それはよかった」 フジコ先生は笑いながら、わたしの腕をトントンと叩いた。 「実はね。春山くんの受験の時にも、同じようにここのお守りをあげたのよ」 「えっ」 「春山くんもこのお守りで難関を突破したと思うと、さらに心強いでしょ」 「そうなんですか…」 わたしは手の中のお守りをじっと見つめた。
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