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『将来について』       3-B 椎名萌  小さい頃から、自分の将来について想像することが苦手だった。  なぜならそこには、いつもぽっかりと大きな空間が口を開けているだけだったから。  でもそれは、まだ自分が幼いせいであり、大きくなるにつれ、確かなものが見えてくるはずだと思っていた。  そして家族や優しい友人達から愛情を貰い、守られるまま何も考えず、いつの間にか高校生になってしまった時、私は途方に暮れた。  自分の前に、進むべき道が見つからない。  振り返っても、自分が歩いて来たはずの道が見当たらない。  引き返したくても、進みたくても、新しい道を作り出せない自分がそこに居た。  心の中を見渡しても、『こうしたい』という自分の意思が、どこにもない。  そこでわたしは、生まれて初めて自分の存在を振り返った。  幼い頃から、周りがわたしに対して何を望むのか、いつも考えていた。  その通りの言動をし、喜んでもらう事が自分の存在意義だと信じて来た。  それが、私の全てだとしたら。  もしかしたら、わたしは今まで、どこにも存在していなかったのかもしれない。
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