第一章【バンド、脱退】

9/15
前へ
/35ページ
次へ
「じゃあメディ、使える奴を頼む。ボーイも当たれよ」  人差し指を差してリーダー気取りに言うジャック。 「ああ」  と、ダニー。 「ジョンよりインパクトの強い男を探してくれ」 「それば無理だろ」  ジャックの言葉に、メディが返す。 「あいつは本物の天才だよ。  お前と同じように嫌われ者だがな。分かる奴にゃあ分かる」 「惜しい奴を追い出したね、ジャック。  ジョンは別のバンドで花を咲かせるさ。絶対にね。  四年間も日の目を浴びなかったのはたまたま運が悪かったのか、君のせいだね」  ダニーもメディに同調して言葉を繋げる。 その言葉を聞いて、顔を歪めるジャック。 「何だ、二人してジョンの肩を持つのか?」 「肩を持つとかそんなのじゃないさ。  お前は本気でジョンの代わりが居ると思ってるのか?  あれは、あいつにしか出来ない事だ。  正気になれよ」  今更何を言うんだ、と言わんばかりの表情でダニーは再び目線をジャックから音楽雑誌に戻す。  
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加