第一章【バンド、脱退】

5/15
前へ
/35ページ
次へ
「本当にそう思うか? チビッコダニー。  確かにジョンは凄い奴だったと思うよ。天才だとも思う。あいつの代わりは確かに居ないだろう。  だけど、それで諦めていいのか? なあ。  ダニーボーイが何と言おうと、俺はバンドを続けるぜ。  俺はロックンロールを愛してるからな。ロックが無けりゃ、生きていけねえんだ。  辞めたい奴は辞めれば良い。  それで良いだろ?」  ダニーと呼ばれるマッシュルームヘアーの彼に向かって、ニヤリと不気味な笑いを浮かべるジャック。  ほんの一分前とは真逆の言葉をつらつらと並べ、二人の顔を交互に見た。 「……ジャック、お前は病気だよ。何を考えてるのかさっぱり分からない」  ダニーはぽかん、と呆気に取られたように呆然とジャックの発言を聞いた後、見開いた目を細くさせ、軽蔑するように彼を見る。  それからもう一度小さく溜め息を吐いて、彼の病的な言動にチラリとメディを横目にした。  
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加