第一章【バンド、脱退】

7/15
前へ
/35ページ
次へ
「オレは、よお……勿論、続けたいとは思ってる。  だけど、お前がたった今辞めるっつったばっかじゃねえか。  お前は一体、何が言いてえのか分かんねえよ」  重くのし掛かるジャックの圧に押され、二度目の質問にようやくメディが答えを口にする。 「君のコロコロと変わるその態度に、ジョンもミミルも嫌になってバンドを辞めていったさ。知ってるだろ?  君は少しおかしいよ」 「気が変わったんだ」  何か理解できない物を見るように、引き気味にダニーは言う。  ジャックはそれを聞いて、まるでさも問題が無いように不審を抱くダニーの言葉を流した。 「で、メディは続けるんだな?」 「……ジャックが続けるっつうなら続けるとも。  ボーイ、オレにも一本くれ」  ダニーと同じく不信感を抱いたままジャックの質問に答えた後、メディはダニーに煙草をねだる。 「ボーイは?」 「続けても無駄だと思うけどね」  箱を振って煙草を一本飛び出させ、メディの口元に近付けながらジャックに返すダニー。  ん、と述べながらメディは煙草を咥え、テーブルに転げているライターに手を伸ばす。  
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加