第2章 ~その終わりのない夢は~

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「お客様、右手をご覧ください。手前にあるのがパリマ橋、奥にあるのがため息橋でございます。ため息橋の由来は、その昔監獄に向かう囚人たちが思わずため息をもたらしからだと言われています」 観光案内はここまで順調 たくさん練習したかいがあった気がする 舟(ゴンドラ)の漕ぎに関しても特に問題はないと思う ただ一つ気になる点がある それはこのお客さん 観光案内は聞いてくれているようだが、建物はほとんど見ていない 彼女の視線の先は・・・私? 時々灯里さんと話したりもしているがそれ以外はずっと見られている気がする 気になったのはなにも視線だけではない 「観光案内は初めてなんでしょ?これだけ出来たら上出来だよ」 「・・あ、ありがとうございます」 「あと、この先は水路が狭くなっているからもう少しゆっくり漕ぐといいよ」 「は、はい。わかりました」 この言動も不思議だった なぜ彼女は私が観光案内するのを初めてだと知っているのか? なぜネオ・ヴェネツィアの街の地理に詳しいのか? そもそもシングルである私をなぜ指名したのか? 理由はわからないが灯里さんと知り合いなのと何か関係があるのだろ 少なくとも普通の観光客ではないことは確かだ
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