第1章 ~その素敵な出会いは~

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「すみません、わざわざ舟(ゴンドラ)に乗せて頂いて」 「良いんですよ、これくらい。それよりどうですか?初めてネオ・ヴェネツィアに来られた感想は?」 「本当不便な所ですよね。天候や気温も気まぐれですしね。それに地球(マンホーム)じゃ全部自動でやってくれるのにここじゃ全て自分の手でやらなくてはなりませんからね」 「でもどうしてでしょうか・・やっぱり僕この街が好きみたいです」 少年が暖かい笑顔を見せる この少年とは初対面ではあるが、少年がこの街を好きだという気持ちに偽りがないことはすぐにわかった そのくらい表情に出ていたからだ 「僕地球の学校を卒業したら火星に移住しようと思っているんです。親には「あんな不便な所の何が良いんだ」って言われちゃいましたけど、こののんびりとした時間だったり、少し気まぐれだったりする、火星が、ネオ・ヴェネツィアが僕は大好きなんです」 言葉の一つ一つに不思議な重みを感じる それはきっと少年のネオ・ヴェネツィアが好きだという気持ちが本物だからなのだろう
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