第4章 その素敵な写真家さんは

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「私、この写真好きです」 「わたしも~」 「もちろん私もです!」 「ハハハッそうですか。それは嬉しい限りです」 アスターさんは嬉しそうだ 「・・素敵なものって実はすごく身近にあるものだと私は思うんです。ただ、皆さんはそれが「当たり前」だと思っているから気付かないだけなんです」 「本当は少し見方を変えてみるだけで凄く素敵なものに見えるものなんですよ」 アスターさんが淡々とした口調で語る 確かに当たり前という認識はあるかもしれない 私が火星(アクア)に来たばかりの頃、どれも地球(マンホーム)にはないものばかりで全てが素敵なもののように感じられた だけど、今はそれらが存在することは当たり前のことのように思えている それは決して悪いことではない ただ、日常生活の中で素敵だと感じるられることは確実に減っていた 当たり前だという認識が素敵という存在を遠ざけているのだ ネオ・ヴェネツィアは素敵な街だ きっとこの街には多く素敵が存在する もしかすると火星という惑星そのものが素敵で出来ているのかも知れない ・・などと考えているうちにようやく目的地に到着した
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