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「…こちらこそ、よろしくお願いします…」
涙声で答えると、春山先生がびっくりしたようにわたしの顔を覗き込んだ。
「お前、なに泣いてんの。…別に、泣くとこじゃないし」
「だ、だって」
「いいから、行くよ。…じゃ、おやすみ。今日はごちそうさま」
先生はわたしの腕を掴んで玄関のドアを開けた。
「あれ、テツ、今夜はこっちには戻ってこないの」
「うん、こいつ送ったら今日はそのまま帰る」
「分かった。じゃ、また明日」
「うん。今日はサンキュ」
「…あ、待って、せんせ…。あのっ、お邪魔しましたっ、ありがとうございましたっ」
みんなの暖かな笑顔に送られ、わたしは半べそのまま手を振りながら、ずるずると引きずられて玄関を出た。
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