1252人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「お前、もしかして…」
「…はい…」
「今日、ご両親に嘘ついて、出て来たの」
「……」
「何て言って来た?」
「…彩加の家に、お泊りするって…」
「……」
先生は、ハンドルに顔を埋め、深いため息をついた。
「――だって」
わたしはガバッと顔を上げた。
「だってっ、先生が卒業式の夜は空けておいてって」
「…いや、それはうちの母親に紹介するために」
「だ、だってだって、明日には俺の女だとか、背中のほくろとかくびれとか、
…騎乗位とかっ」
「ちょ、ちょっと」
「だからわたし、いっぱい下着持ってきて、どれがいいか彩加に選んでもらったり、…この日のために佐緒里に色んなこと教えてもらって勉強したり、ゆーきの部屋からこっそり『ロリ天』持ち出して来て研究したりして…モゴ」
「…ちょっと、待って…」
大きな手のひらが、わたしの口を塞いだ。
「分かった。…とりあえず、分かったから…」
「……」
先生は、どう対処すべきか考えているようだった。
さっきまで開いていた涙腺から、再び押し出されるように涙がにじむ。
口を塞がれたまま先生の顔を見返していると、先生がそっと手を放した。
最初のコメントを投稿しよう!