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あれこれ考えているうちに、次第にわたしの頭の中は、先生の野球練習着姿でいっぱいになっていった。
…先生、今日、練習着で来てくれないかな…。
まだ数えるほどしか目撃していないが、真っ白な練習着に身を包んだ先生は、うっとりするほどカッコいい。
…早く、会いたい。
最近なかなか会えていないから、…もしかしたら、先生の方からぎゅってしてくれるかも…。
次第に胸が高鳴り、わたしは再び鏡を取り出した。
顔を写すと、…高校時代、この放送部室で交わしたキスが思い出されて、さらにドキドキが増していく。
…やば…。
最近、先生の変態が伝染って来ているような気がする。
一緒に居る時間が長いと恋人同士は似て来るって言うから、…本気で気をつけよう。
軽く前髪を直していると、コンコン、とドアをノックする音が響いた。
…来たっ…。
わたしはピョコっと飛び上がった。
「…はいっ…」
勢いよく返事をすると、ガチャ、とドアが開く。
「…おつかれ」
先生の、いつもの素っ気ない声。
「お疲れ様ですっ…」
わたしは自然と零れたとっておきの笑顔で応えた。
END
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