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翔平くんの部屋は、二階の一番手前にあった。
きれいに片付いた勉強机に、大きな青い地球儀が乗っている。
部屋の隅に置かれたおもちゃ箱が、何だか微笑ましかった。
「これだよ」
翔平くんは机の引き出しからカードケースを取り出し、こちらに差し出した。
「ありがとう。開けて見ていい?」
「うん」
絨毯の上に座り込んでカードを取り出すと、翔平くんがすぐ隣にぴったり寄り添った。
「これが一番レアなの。だけど一番強いのは実はこっち。激レアは体力がちょっと低いから。ほら、ここ」
身を乗り出し、熱心に説明してくれる。
「そうなんだ。翔平くん、詳しいんだね」
「みんな知ってるよ、このくらい」
…あ。
照れると、拗ねたみたいな顔。
やっぱり、春山先生に似てる…。
きゅんきゅんしながらうっとり眺めていると、翔平くんが顔を上げた。
コハク色の瞳で、じっと見返してくる。
「しーなさん」
「…なあに?」
「しーなさんは、テツ兄のお嫁さんに、来るの?」
「…えっ」
不意打ちの問いに、顔からボッと火が出た。
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