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これに対して張任は、
張任
「お、お待ちください呉懿将軍!なぜ我々のような若輩なのでしょうか?相手はあの劉備率いる荊州軍。兵と将の質もあちらの方が上手なのは誰がもが認めるところですし、あの天下の名士、ホウ統も従軍しております。ここは我々ではなく、実戦経験豊富な呉懿将軍か、黄権将軍が前線で指揮をなさるべきではないでしょうか。」
張任は自分の無力さや情けなさを噛みしめながら必死に訴えた。
しかし呉懿は、
呉懿
「少し落ち着け張任、もうお前は一端の将であろう。」
と白髪交じりの顎鬚を撫でながら張任を一蹴した。
落ち着きを取り戻した張任に椅子に深く座り直しながら続けた。
呉懿
「いいか張任。我が君、劉璋様は軍の指揮をお執りになれんのだ。それどころか自ら寝室に篭ったままで、この場にいらっしゃることもできんほどにな。先代劉焉様が生きておられたらさぞお怒りになられただろうし、無念であろう。儂は代わりに軍の中枢として総指揮を執らねばならんし、黄権は荊州から見て正面である広漢地方を守らねばならん。」
呉懿は言い切ると、深いため息をつき、再度前屈みになった。
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