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それでも張任は納得できなかった。
張任も山賊退治程度であれば経験を積んではいるが、今回の敵は賊程度ではない。中華最大の勢力を誇る曹操も恐れる劉備とその精鋭。
率いる兵力も桁が二つほど違っていた。
張任はその重圧に押され俯いていた。
そんな張任に呉懿は、
呉懿
「案ずるな張任。この数年でお前たちは大きく成長した。お前たちほど早く将の座に就いた輩はこの益州にはおらんぞ。冷苞の力には儂はもう勝てんし、トウ賢の用兵は黄権も褒めておった。劉カイにはもう安心して兵を預けることができる。そして張任、お前は将来この国を背負って立つであろう大器だと確信している。儂が保証する。お前に足りないのは自信だけだ。だから心配するな、見事手柄を立て、難敵から国を守って見せよ!」
言い終わると同時に呉懿は立ち上がり、張任の隣まで歩み寄った。
呉懿は張任の左肩に手を置き、頼むぞ、とつぶやき部屋を後にした。
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