プロローグ

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「あなたの寿命は後3年です。」 中学を卒業して、高校入学を一週間前に控えたある日。 僕、川崎勝也は医者にそんな事を告げられた。 それを聞いてお母さんは泣き崩れ、それをお父さんが抱き止めている。 「我々も最後まで手は尽くします。 ですがそれで伸ばせたとしても微々たる物でしょう…。」 信じられない。 僕の寿命はあと3年? 中学を卒業して、もうすぐ高校に入学なのに。 「あの…。」 思わず口が開く。 「…はい?」 「それじゃあ僕は高校にも行けないんですか?」 「はい。 少しでも長く生きる為には安静にしてもらうのが一番なので…。」 「勝也…。 あなたの寿命はあと3年なのよ…? 高校に行けば、それで終わるの…。」 「嫌だ…。」 「勝也…。」 「嫌だ嫌だ! そんなの絶対に嫌だ!」 「お願い、分かって…。 あなにはもう時間が無いの。」 頭では分かっていた。 医者の態度からこれが冗談では無いことも、お母さんの言う通り時間が無いことも。 でも認めたくなかった。 僕にはもう高校に行って終わるだけの時間しか残されていない事も。
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