プロローグ

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その後の医者の話は、全く頭に入らなかった。 恐らくそれはお母さんも一緒だろう。 聞き役のお父さんも気が気じゃないのは目を見れば解った。 学校に行けない。 これまで、普通通りに生きてきたつもりだ。 幼稚園、小学校、中学校。 友達も出来て遊んだりもしたし、勉強だって真面目に頑張ったつもりだし。 楽しかった。 なのになんで? 「勝也。」 医者の話が終わったらしく、お父さんが話かけてくる。 「帰宅許可が降りた。 帰ろう。」 小さく頷き、診察室を出る。 お母さんはさっきからずっと泣いているけど、不思議と僕の目から涙は出なかった。 頭で分かっていてもやっぱり心の何処かでは信じられてないんだろう。
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